持ち戻し免除の推定~ 難しい相続相談は横浜駅から歩いてすぐのはづき司法書士事務所にお任せ下さい
以前このブログでお話しさせていただいた配偶者居住権のほかにも、配偶者を保護するための規定が改正により設けられました。今回は、そのお話をさせていただきたいと思います。
特別受益(例えば、「この土地を妻に遺贈する」)を受けた相続人(この場合は奥様)がいる場合、相続人間の公平のため、遺産分割における当該相続人の取得分を、特別受益を受けた価額に応じて減らす必要があるので、特別受益の価額を相続財産の価額に加えて相続分を算定し、その相続分から特別受益の価額を控除して特別受益者の相続分が算定されます。このようにして具体的相続分を算定することを特別受益の持ち戻しといいます。
これを式で表すと、{(遺産の総額)+(相続人全員の特別受益)}×(当該相続人の法定相続分)-(当該相続人の特別受益)=具体的相続分となります。仮に、当該相続人の特別受益が高額で、具体的相続分がマイナスになってしまった場合、特別受益者である相続人は、財産を戻したり、支払ったりする必要はありません。そして、被相続人の持ち戻し免除の意思表示があった場合は、具体的相続分を算定するに際し、特別受益の価額を相続財産の価額に加えなくてよくなります。
例えば、ご夫婦でお住いになられているご自宅が、一方の配偶者の所有であったとします。この配偶者が他方にご自宅を遺贈ないし生前贈与した場合、これまでは、これらの財産は配偶者の特別受益となり、遺産分割の際、被相続人の持ち戻し免除の意思表示がない限り、相続分を算定するにあたり、原則持ち戻しをしなければなりませんでした。
しかし、長年ご夫婦で過ごし、自分が亡くなった後の配偶者を気遣い、ご自宅を遺贈ないし生前贈与したのに、持ち戻し免除の意思表示をしなかったばかりに、持ち戻しがなされるのは、自宅を残してあげたいという故人の意思に反するでしょう。相続財産のなかでご自宅が占める比率が大きいと、持ち戻しによって、配偶者が預貯金を相続できなくなるかもしれず、配偶者が金融資産に乏しい場合、その後の生活に問題が生じるかもしれません。
そこで、2019年7月1日に施行された改正民法により、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住する不動産(配偶者居住権を含む)が遺贈ないし生前贈与された場合は、持ち戻し免除の意思表示があったものと推定し、持ち戻しを免除しない意思表示があった場合のみ、持ち戻しを行うこととなりました。この改正により、ご自宅を遺贈ないし生前贈与した場合も、20年以上夫婦で共同生活をしていた住居であれば、相続分の算定において特別受益とされることはなくなります。とはいえ、免除があったとしても遺贈や贈与が遺留分を侵害する場合は、遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額請求を行うことができます。この点はご注意ください。
相続や遺言の作成についても、横浜のはづき司法書士事務所に、どうぞお気軽にご相談ください。
NEW
-
query_builder 2022/08/26
-
横浜駅相続司法書士 新入社員ブログH①
query_builder 2022/08/19 -
横浜駅相続司法書士 登記簿謄本の読み方①表題部
query_builder 2022/01/18 -
横浜駅相続司法書士 現在の登記手続きって?②
query_builder 2021/12/07 -
横浜駅相続司法書士 現在の登記手続きって?①
query_builder 2021/11/17